中央アジアの内陸国、ウズベキスタンの首都タシケントへ向かう機上。歴史の彼方へ消えた幻影都市楼蘭、荒涼としたタクラマカン砂漠を眺めながら、「異邦人」などのミュージックを聞きつつ、シルクロード交易の難所であった天山山脈を楽々と飛び越えて、数時間後には目的地へ到着する「はず」であった。 しかし現実には、太陽の代わりに月が登場し、眼下には闇の世界が広がるのみ。機内はミュージックを聞けるような環境ではなく、会話をするにも大声を張り上げなければならないほど、ジェットエンジンの騒音が激しかった。本来であれば中古であっても欧州製のエアバス機で、一応は快適な空の旅がエンジョイできる「はず」であったが、機体は予想外で、しかも最悪のロシア製イリューシン62型機だった。
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