レーガンの後継者

執筆者:名越健郎 2004年8月号
エリア: 北米

「強いアメリカ」を再生させ、冷戦勝利につなげたロナルド・レーガン元大統領の死を、全米が悲しみ、喪失感を強めている。 国葬前後、米国のテレビは連日追悼番組を流し、大統領選挙戦も一時休戦。議会はレーガン氏を10ドル札の顔にすることを検討し、各地で「レーガン通り」「レーガン広場」と改称する動きも伝えられる。10年間アルツハイマー病と闘ったことも、米国民の同情を集めた。 レーガン氏はジョークの達人で、多くの傑作が米国のメディアで改めて紹介されている。 1980年の大統領選では、「不況とは、あなたが失業すること。経済回復とは、カーター大統領が失業することだ」と攻撃、84年の大統領選でモンデール氏から「高齢」を追及されると、「わたしは対立候補の若さと経験のなさを争点にするつもりはない」とかわした。記者会見で「リセッション(経済後退)へのあなた自身の責任はないのか」とただされると、「長年民主党員だった責任がある」と答えた。ゴルバチョフ氏との米ソ軍縮交渉では、ロシアのアネクドートを収集して構想を練ったものだ。

カテゴリ:
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top