「質」を諦め「規模」を目指すメガバンクの無自覚

2004年9月号
エリア: 日本

いずれの統合も成果を出せぬまま、またぞろ威勢のいい声が聞こえてきた。「金融システムの総仕上げ」と金融庁はぶち上げるが、大手銀行の内実はお寒い。「世界屈指の総合金融グループを創造します」――。総資産は世界トップの百八十八兆円。来年十月一日の全面統合に向け、ようやく動き出した三菱東京フィナンシャル・グループとUFJグループの首脳陣が威勢のいいスローガンをぶち上げる傍らで、頭を抱えている人がいる。証券業界の幹部たちだ。「なんとしてでもみずほと提携したい」(日興コーディアル証券幹部)。「野村証券も新メガバンクの意向は無視できないのでは」(外資系証券アナリスト)。隠れたテーマは金融庁が年末にとりまとめる「金融重点強化プログラム」だ。今年五月にその原案が公表されてから、金融界はにわかに騒がしくなってきた。 同プログラムは、竹中平蔵金融・経済財政担当相が音頭をとって二〇〇二年十月に作成した「金融再生プログラム」の第二弾と位置付けられる。大手銀行に不良債権処理の加速を迫った第一弾の後を受け、「日本の金融システム整備の総仕上げを行なう」というのが、新プログラムに託された金融庁の狙いである。 来年四月にはペイオフ(預金などの払い戻し保証額を元本一千万円とその利息までとする措置)全面解禁が控えている。これを見越して地銀の検査強化などの施策も検討されているが、大手証券の幹部たちが注目するポイントは別にある。

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