イタリア郵政改革を成し遂げた男、パッセラの手腕

2004年9月号
エリア: ヨーロッパ

フィアット、インテーザの再建に携わる“不可能を可能にする再建屋”コッラード・パッセラ氏。彼がイタリア郵政公社を黒字転換させたその方法とは――「世に奇跡だと言われたイタリアの欧州単一通貨ユーロへの加盟は、さらに小さな幾つかの奇跡により実現された。すなわち年金制度改革、高速道路公団の民営化、そして郵政事業改革だ」。一九九六年五月から九八年十月までイタリア首相を務めた欧州連合(EU)のプロディ現・欧州委員長は、自らの業績についてこう回想したことがある。三五%にも上った「紛失・誤配」「書留郵便なのに頻繁に紛失する」「電気代の請求書がなんと三年後に届いた」――。まるで冗談のような現実がまかり通ってきたイタリアの郵政事情。慢性的な赤字体質を引きずり、国家財政のお荷物として批判を浴びてきた。だが今では社会的な信用を回復し、国内外の投資家が目を見張るほどの優良事業体に変貌を遂げた。「イタリアの奇跡」として注目を集めている。 出発点は九八年二月だった。首都ローマの中心部。観光名所「トレビの泉」にほど近いイタリア郵政公社(ポステ・イタリアーネ)の本社に四十三歳の長身痩躯の男が姿を見せた。コッラード・パッセラ氏。伊有力地銀バンコ・アンブロジアーノ・ベネトの最高経営責任者(CEO)だった同氏は、当時のプロディ首相にイタリア郵政公社総裁として抜擢された「改革の旗手」である。

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