イミがわからない言葉

成毛眞
執筆者:成毛眞 2004年9月号
カテゴリ: 文化・歴史 金融

 十年ほど前まで、コンピュータ業界が頻繁に受けていたクレームの一つが「用語」だった。カタカナばかりで理解できないというのである。たしかにフロッピーディスク、キーボードなどの一般的な用語だけでなく、インターネットが流行りはじめてからはウェブ、ブラウザー、クッキーなど特殊な用語も増えてきた。ADSL、HTTP、JPEGなどの略語にいたっては想像することすらできないというのである。 当時は「パソコンが使えないと仕事がなくなる」というような脅しめいた記事や書籍が出回り、焦った中高年が使いこなせないことの言い訳を探していた。普及の妨げになるかもしれないと反論を用意した。「自動車用語もハンドル、バンパー、ガソリン、カーナビなどほとんどがカタカナ語ではないか。DOHC、ABS、SUVのような略語もある。コンピュータ用語を難しく感じるのは慣れの問題である。新技術を使いこなすためには努力が必要なのです」 なんでこんな簡単な用語まで解説しなければならないんだと思いながらも、コンピュータ用語辞典の編纂に加わったこともある。 しかし、自分がコンピュータ業界から金融業界に移ったとたん、パソコンを使いこなせなかったおじさん達の心情が即時に理解できた。マンデート、イールドカーブ、センチメント。CDO、PVI、LIBOR。なにがなんだかわからない。しかし、いまさらカタカナ語が多いから何とかしてくれと泣きつくこともできない。金融用語辞典を買ってきた。

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執筆者プロフィール
成毛眞
成毛眞 中央大学卒業後、自動車部品メーカー、株式会社アスキーなどを経て、1986年マイクロソフト株式会社に入社。1991(平成3)年、同社代表取締役社長に就任。2000年に退社後、投資コンサルティング会社「インスパイア」を設立。さまざまなベンチャー企業の取締役・顧問、早稲田大学客員教授ほか、「おすすめ本」を紹介する「HONZ」代表を務める。著書に『本は10冊同時に読め!』『日本人の9割に英語はいらない』『就活に「日経」はいらない』『大人げない大人になれ!』『ビル・ゲイツとやり合うために仕方なく英語を練習しました。 成毛式「割り切り&手抜き」勉強法』など(写真©岡倉禎志)。
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