2011年「スマートフォン大戦」の行方

執筆者:清家亮 2010年12月30日
タグ: 日本 韓国
今年、続々と発売された高機能携帯電話・スマートフォン (C)時事
今年、続々と発売された高機能携帯電話・スマートフォン (C)時事

 スマートフォンブームが一気に来た。雑誌が特集を組み、テレビCMでは、ソフトバンクがSMAPを起用して売り込みをかけ、auは超大物女性シンガーのレディー・ガガで対抗、そしてNTTドコモはハリウッドからスター・ウォーズの主要キャラクターであるダースベイダーを引っ張り出した。秋冬モデルで3社から新発売されるスマートフォンは合計18機種に上る。ある通信キャリア(ドコモ、au、ソフトバンクなどの通信事業者)の幹部は「今シーズンはマーケティングコストの約7割をスマートフォンに投入している」と打ち明けた。  その通信キャリアの中で、ブームを最も切実に実感している人々がいる。それは設備担当者だ。 「携帯電話ネットワークはずっと首都高速並みの混雑が続いてきた。スマートフォンの増加はそこに大型トラックの集団が続々と乗り込んでくるようなもの。通信の大渋滞が起きてしまう」  スマートフォンはメールチェックやツイッターへのアクセスなどが頻繁で、なおかつ、動画など大容量データの送受信も簡単にできる。従来の携帯電話に比べるとデータ送受信量は30倍になると言われている。事実、ソフトバンクの通信トラフィックは、iPhone発売前と現在を比べると20倍に激増している。通信キャリアの技術系幹部は「データ通信の混雑が通話にまで影響しそうになってヒヤリとするときもある。設備投資はいたちごっこ。ほとんど消耗戦だが負けるわけにはいかない」とこぼす。

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