注目される第112議会での茶会党勢力の動き

執筆者:足立正彦 2011年1月6日
エリア: 北米

 第112議会第1会期(2011年1月~2012年1月)が米国時間5日に開会した。共和党は下院で4年ぶりに多数党に復帰したが、最大の関心は昨年11月の中間選挙で当選したティーパーティー(茶会党)支援議員の動きだ。

 昨年7月にミシェル・バックマン下院議員(ミネソタ州第6区選出)を代表として共和党下院議員24名で「茶会党議員連盟(Tea Party Caucus)」が結成され、中間選挙直前には50名を超える共和党下院議員が同議員連盟に参加した。茶会党運動に支えられて昨年の中間選挙で初当選を果たした共和党下院議員は40人以上にも達しており、上院でもマルコ・ルビオ(フロリダ州)、ランド・ポール(ケンタッキー州)、マイク・リー(ユタ州)、ロン・ジョンソン(ウィスコンシン州)をはじめ一定数の茶会党支援の共和党上院議員候補が初当選を果たした。第112議会では茶会党の支援を受けた保守派勢力が共和党内でより大きな影響力を持つことになるが、彼らは「小さな政府」を志向し、オバマ政権が過去2年間に推し進めてきた各種政策の巻き返しを図ろうと財政歳出削減などに積極姿勢を示しており、ワシントンD.C.で求められる政治的妥協を徹底的に排除しようとしている。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
足立正彦(あだちまさひこ) 住友商事グローバルリサーチ株式会社シニアアナリスト。1965年生まれ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より、住友商事グローバルリサーチにて、シニアアナリストとして米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当し、17年10月から米州住友商事ワシントン事務所に勤務、20年4月に帰国して現職。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top