政治大変動の予兆か?-アフリカ北方の民衆パワー

 いま南部スーダンで独立を問う住民投票が行われている。1月9日に1週間の予定で始まったが、投票が殺到していることから延長されたようだ。独立賛成票が多数となるのは確実視されている。この独立投票は、南北内戦を終結させた2005年和平協定の目玉だった。ハルツームの政権は抵抗したが、アメリカが説得した。
 南北内戦終結後、副大統領として入閣した(南部)スーダン人民解放軍のガラン最高司令官は、独立よりも南北融和の統一スーダンを考えていたといわれる。しかしガランは、副大統領就任直後に、彼を支援してきたウガンダのムセヴェニ大統領と会談した帰路、乗っていたヘリコプターが墜落して亡くなった。ガランの死後、南部スーダンは独立の方向に急傾斜した。

カテゴリ: 政治 カルチャー
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執筆者プロフィール
平野克己(ひらのかつみ) 1956年生れ。早稲田大学政治経済学部卒、同大学院経済研究科修了。スーダンで地域研究を開始し、外務省専門調査員(在ジンバブエ大使館)、笹川平和財団プログラムオフィサーを経てアジア経済研究所に入所。在ヨハネスブルク海外調査員(ウィットウォータースランド大学客員研究員)、JETRO(日本貿易振興機構)ヨハネスブルクセンター所長、地域研究センター長などを経て、2015年から理事。『経済大陸アフリカ:資源、食糧問題から開発政策まで』 (中公新書)のほか、『アフリカ問題――開発と援助の世界史』(日本評論社)、『南アフリカの衝撃』(日本経済新聞出版社)など著書多数。2011年、同志社大学より博士号(グローバル社会研究)。
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