動き出した米主導の「対北対話路線」

平井久志
執筆者:平井久志 2011年2月2日
カテゴリ: 国際
北朝鮮の平壌で、同国を1月21日から訪問中のエジプトの携帯電話サービス大手オラスコム・テレコムのナギブ・サウィリス会長(中)と写真撮影に臨む金正日労働党総書記(右)。カイロに本社を置くオラスコムは北朝鮮政府と設立した合弁会社を通じて同国に携帯電話サービスを提供している。写真左は今年になって初めて公の場に姿を現した張成沢氏(1月25日朝鮮中央通信提供) (C)EPA=時事
北朝鮮の平壌で、同国を1月21日から訪問中のエジプトの携帯電話サービス大手オラスコム・テレコムのナギブ・サウィリス会長(中)と写真撮影に臨む金正日労働党総書記(右)。カイロに本社を置くオラスコムは北朝鮮政府と設立した合弁会社を通じて同国に携帯電話サービスを提供している。写真左は今年になって初めて公の場に姿を現した張成沢氏(1月25日朝鮮中央通信提供) (C)EPA=時事

 北朝鮮による昨年11月の延坪島砲撃で緊張が高まった朝鮮半島情勢が、今年1月19日(日本時間20日未明)の米中首脳会談を機に、対立局面から対話局面に大きく転換しつつある。  韓国と北朝鮮は2月1日、南北高位級軍事会談の予備会談を8日に板門店で開催することで合意した。延坪島砲撃で交戦した南北の軍事当局が協議のテーブルに着くことになった。  米国のオバマ大統領と中国の胡錦濤主席が首脳会談後に発表した共同声明では、国際・地域問題の相当部分を北朝鮮問題への言及に割き、両首脳は①韓国と北朝鮮が誠実で建設的な対話を始めることが非常に重要な一歩②北朝鮮によるウラン濃縮計画を懸念③早期の6カ国協議再開に向けた措置の必要性――で見解の一致を見た。中国はそれまで北朝鮮のウラン濃縮について対外的には判断を留保していたが、ここで明確に「憂慮」を表明した。一方、米国は昨年3月の哨戒艦沈没や延坪島砲撃への非難には言及せず、南北対話の促進、6カ国協議再開という中国が主張して来た対話路線に同調し、米朝がそれぞれ歩み寄った形で、朝鮮半島情勢を対立から対話局面に誘導する意志を明確にした。

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執筆者プロフィール
平井久志
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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