実は処罰されていないソマリア海賊

執筆者:白戸圭一 2011年2月3日
タグ: 自衛隊 韓国 日本
エリア: アフリカ アジア

 韓国海軍の特殊部隊が1月21日、ソマリア沖で海賊に乗っ取られていた韓国のケミカルタンカー「三湖(サムホ)ジュエリー」に突入し、銃撃戦の末に海賊8人を射殺、5人を拘束して人質の解放に成功しました。ソマリア海賊の船舶乗っ取り事件は、身代金支払いによって人質が解放されるケースが一般的です。同船が海賊に乗っ取られたのは1月15日。発生から6日後の強行突入による解決はやや異例の展開でしたが、人質に日本人が含まれていなかったこともあり、この強行突入は日本ではほとんど報道されませんでした。

 しかし、私たちは、日本の海上自衛隊が海賊対策のために今もソマリア沖に派遣されていることを、時には思い出す必要があると思います。新聞記者の私が言うのも自己矛盾かもしれませんが、日本の政治メディアの政局報道ばかり見ていると、世界の動きが分からなくなる恐れがあると思います。韓国軍の突入劇は、諸外国で大きく報道されたのです。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
白戸圭一(しらとけいいち) 立命館大学国際関係学部教授。1970年生れ。立命館大学大学院国際関係研究科修士課程修了。毎日新聞社の外信部、政治部、ヨハネスブルク支局、北米総局(ワシントン)などで勤務した後、三井物産戦略研究所を経て2018年4月より現職。著書に『ルポ 資源大陸アフリカ』(東洋経済新報社、日本ジャーナリスト会議賞受賞)、『日本人のためのアフリカ入門』(ちくま新書)、『ボコ・ハラム イスラーム国を超えた「史上最悪」のテロ組織』(新潮社)など。京都大学アフリカ地域研究資料センター特任教授、三井物産戦略研究所客員研究員を兼任。
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