「均衡の思想」と「ソーシャル・メディア」で読み解く米国政治

執筆者:中山俊宏 2011年2月10日
カテゴリ: IT・メディア 国際
エリア: 北米

 昨年11月にアメリカで行なわれた中間選挙から3カ月強が経過した。その間、ツーソンで起きた民主党議員銃撃事件、一般教書演説などを経て、選挙直後に見えていた風景とは大分異なった政治的地平がオバマ政権の前に広がっている。

ティーパーティー運動に惑わされてはいけない(一般教書演説に臨むオバマ大統領)(c)AFP=時事
ティーパーティー運動に惑わされてはいけない(一般教書演説に臨むオバマ大統領)(c)AFP=時事

 中間選挙の結果そのものは紛うことなき民主党の「歴史的敗北」だった。選挙直後、オバマ大統領自身も選挙の結果を「完敗(shellacking)」と評した。数字の上で見る限りそれは正しかった。民主党は下院で63議席失い少数派に転落、上院でも6議席失い、多数派の地位はかろうじて維持したものの、それは風前の灯火といった感があった。最終的に民主党は2006-08年期に得たものを、ホワイトハウスを除いては、ほぼすべて失ってしまったといっても過言ではない。  選挙期間中、共和党は一貫して攻勢に出ていて、民主党はその批判をかわすのに必死だった。選挙戦終盤になると若干民主党の巻き返しも見られたが、共和党の側の熱意は一貫して民主党のそれを上回っていた。「反オバマ」のメッセージを掲げた勝手連的政治運動のティーパーティー運動は共和党指導部さえも制御できないほど勢いづいていた。  2009年1月にオバマ政権が発足した時に、このような光景を想像した人は、共和党の側でもほぼ皆無だっただろう。オバマ大統領も自分の言葉がまったく届かなくなってしまった状況に狼狽したに違いない。2年前のオバマ政権誕生時の興奮を思い返すと、2年でここまで変わってしまうのかと思ってしまうほど、オバマ政権を取り巻く政治環境は激変したかのように見えた。

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執筆者プロフィール
中山俊宏 1967年生れ。国際政治学博士(青山学院大学)。日本政府国連代表部専門調査員、日本国際問題研究所主任研究員、津田塾大学国際関係学科准教授を経て、現職。共著に『アメリカ現代政治の構図』(東京大学出版会)、『アメリカのグローバル戦略とイスラーム世界』(明石書店)などがある。
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