知日派議員ジム・ウェブの不出馬表明

足立正彦
執筆者:足立正彦 2011年2月10日
カテゴリ: 国際
エリア: 北米

 穏健派・中道派の民主党上院議員であるジム・ウェブが、改選期を迎える来年11月のヴァージニア州選出連邦上院議員選挙に再選を目指さない意向を自らの65才の誕生日に当たる9日に明らかにした。先月にはノースダコタ州選出の民主党上院議員のケント・コンラードも5選を目指さない方針を明らかにし、民主党内に衝撃が走ったばかりである。2012年連邦上院議員選挙後も民主党が上院で引き続き過半数を維持する上でも、コンラードに続くウェブの不出馬表明は大きな打撃である。

 ウェブは海兵隊員としてベトナム戦争従軍経験があり、ロナルド・レーガン共和党政権での国防次官補を経て、第2期レーガン政権で海軍長官に就任した。ジョージ・W.ブッシュ政権の対イラク政策に批判姿勢を明確にし、対イラク政策が主要争点となった2006年中間選挙では、ヴァージニア州の民主党上院議員候補として現職の共和党上院議員であったジョージ・アレンに対し、合計237万票以上が投じられた同州選出連邦上院議員選挙において僅か9329票差でウェブは勝利している。ウェブの僅差での勝利はウェブ個人の勝利だけではなく、民主党が上院で過半数を上回る51議席目の勝利となったために、上院民主党にとっても大きな意味を持つものであった。2008年大統領選挙では、オバマはヴァージニアでマケインに対し得票率6ポイント差で勝利した。民主党大統領候補のヴァージニアでの勝利は、1964年大統領選挙でのリンドン・ジョンソン以来実に44年ぶりであった。ヴァージニアでのオバマの勝利に道を拓いたのも「レーガン・デモクラット」であるウェブの2006年中間選挙での勝利が大きな役割を果たしたと考えられる。その意味でも、ウェブの今回の不出馬表明は、オバマの再選戦略という観点からも政治的インパクトを持つのである。

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執筆者プロフィール
足立正彦
足立正彦 住友商事グローバルリサーチ シニアアナリスト。1965年生れ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より現職。米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当する。
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