ブッシュ前大統領がプーチン首相になめられた理由

春名幹男
執筆者:春名幹男 2011年2月13日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: 北米 ロシア

 11日付の日本経済新聞がブッシュ前米大統領とのインタビューを掲載した。その中のニュースは、プーチン氏が「会うたびに変わり、ロシアも変わっていった」と強い不満を表明した、ということくらいかもしれない。雑誌時代の本誌2008年10月号「インテリジェンス・ナウ ブッシュ大統領の”教育”にはなから失敗したCIA」を読んでいただくと、その理由が推測できる。

 2001年2月8~10日、プーチン氏(当時大統領)がオーストリアの首都ウィーンのホテル・インペリアルに滞在するのに先立ち、ホテル貴賓室に仕掛けられたCIA(米中央情報局)の盗聴器のバッテリーを取り替えて、再作動させましょうか、とCIAが就任早々のブッシュ大統領に進言した。しかし、ブッシュ氏は「友人を盗聴するなんてことはしない」と答え、反対したというのだ。ジャーナリスト、ロン・サスキンド氏の「ザ・ウェイ・オブ・ザ・ワールド」にそんな秘話が書かれている。

 ブッシュ氏もライス補佐官も、発見されるリスクを恐れたという。しかしCIAは、万一ばれても、プーチン氏は逆に「ブッシュ氏を尊敬するだろう」と考えていた。ホテルの貴賓室にCIAの盗聴器が仕掛けられていることなど、ソ連時代のKGB(国家保安委員会)が既に知っていた可能性が十分ある。

この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
春名幹男
春名幹男 1946年京都市生れ。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒業。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授を経て、現在、早稲田大学客員教授。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『スパイはなんでも知っている』(新潮社)などがある。
comment:0
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順