焦点は「予算関連法案」ではなく、「予算修正協議」のはずだ

原英史
執筆者:原英史 2011年2月16日
カテゴリ: 政治
エリア: 日本

 

15日の衆議院本会議で税制改正関連法案、特例公債法案など5法案が審議入りした。
各種メディアで広く報道されているとおり、「予算関連法案」の行方が、永田町での当面の焦点になっている。
予算そのものは、参議院で否決されても、憲法上の「衆議院の優越」により自然成立するが、予算関連法案は、衆議院3分の2で再可決しない限り成立しないからだ。
 
今月に入って以下のような動きがあるが、いずれも、「予算は自然成立するが、予算関連法案が焦点」という前提での動きだ。
・民主党は今月はじめ、「予算関連法案が成立しなかった場合の影響」についてまとめた資料を党所属議員らに配布。(例えば、関税の暫定税率切れで、「ステーキが100gあたり約11円上昇」「チーズは150gあたり約10円上昇」など、国民生活にも支障が生ずることを強調。)
・一方、自民・公明両党なども「国民生活不在で何でも反対」と批判されることは避けたいので、予算関連法案の一部を分割して成立させるといった議論が浮上。
・並行して、3分の2再可決を目指して、民主・社民間の協議が続く。
 
しかし、考えてみれば、いきなり「関連法案の分割」や「3分の2再可決のための数合わせ」といった戦術レベルの話になってしまっていることは、本末転倒ではないか。
本筋は、まず野党が予算の修正案を出し、国会の場で修正協議を行い、衆参両院で可決成立を目指すことだろう。(その場合もちろん、関連法案も両院で成立する。)
 
さらに、「衆議院の優越」の本来の趣旨から考えたら、実は、「予算は自然成立するが・・」という前提自体にも問題がある。
そもそも、予算の自然成立、法案の3分の2可決といった「衆議院の優越」はなぜ与えられているかというと、一般には、衆議院の方が、任期が短く解散もあるなど、「参議院より国民の意思に近いから」だと考えられている。
こうした趣旨に立ち返れば、参議院の方が直近の民意をより反映していると思われる現状で、「自然成立」や「3分の2再可決」といった制度は、当たり前のように行使してよいものではない(これは福田・麻生内閣のときの裏返しでもあるが)。
 
数合わせや細かな戦術論の前に、まず、国会で「予算修正協議」を徹底的に行い、両院での可決成立を目指すべきである。それが、国会の役割のはずだ。
 
この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
原英史
原英史 1966年東京都生れ。東京大学法学部卒、米シカゴ大学院修了。89年通商産業省(現・経済産業省)入省。大臣官房企画官、中小企業庁制度審議室長などを経て、2007年から安倍・福田内閣で行政改革・規制改革担当大臣の補佐官を務める。09年7月退職。株式会社政策工房を設立し、政策コンサルティング業を営む。大阪府・市特別顧問、国家戦略特区ワーキンググループ委員(内閣府)、社会保障審議会年金事業管理部会委員(厚生労働省)を務めるほか、NPO法人万年野党理事、「地方議会を変える国民会議」発起人など。著書に『官僚のレトリック』(2010年、新潮社)、『「規制」を変えれば電気も足りる』(2011年、小学館101新書)、『日本人を縛りつける役人の掟/岩盤規制を打ち破れ』(2014年、小学館)、『国家と官僚』(2015年、祥伝社新書)。
comment:0
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順