タイ政権打倒で接近する「タクシン派」と「反タクシン派」

執筆者:樋泉克夫 2011年2月25日
エリア: アジア
タクシン批判の急先鋒だったソンティ氏(c)EPA=時事
タクシン批判の急先鋒だったソンティ氏(c)EPA=時事

 国境の微妙な位置に建てられた古いクメール様式のプレアビヒア(タイ名はプラヴィハーン)寺院の領有をめぐって、タイとカンボジアの紛争がキナ臭さを増しつつあった2月8日、タイ字経済紙の「クルンテープ・トラキット」は、最大の反タクシン政治勢力である「民主主義のための市民同盟(PAD)」の組織者で代表的存在のソンティ・リムトンクーン(林明達)が1月下旬に香港経由でクウェートを訪れタクシンと密談した、と報じた。  かりに密談が事実なら、タイ内政の膠着した対立図式に転換を迫ることになるだけでなく、王国としてのタイの将来にも大きな影響を与えかねないことになる。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫(ひいずみかつお) 愛知県立大学名誉教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年から2017年4月まで愛知大学教授。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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