次はパキスタン?

春名幹男
執筆者:春名幹男 2011年2月27日
カテゴリ: 外交・安全保障 国際

 「領事館員」というのは真っ赤な嘘で、本当は米中央情報局(CIA)の契約スパイだった。今年1月、パキスタン・ラホールで起きた殺人事件で逮捕されたレイモンド・デービス容疑者(36)のことである。

 交差点で信号待ちをしていた際、「賊に襲われそうになったので銃を発射した」という言い訳をしていたが、本当は2人のパキスタン人を背後から3、4発の銃弾を発射するという過剰すぎる防衛だった。オバマ大統領は最初、逮捕されたのは外交官と弁明していたが、米メディアにすっぱ抜かれて嘘がばれた。デービス容疑者が滞在していたラホール市内の「隠れ家」には1人のCIA工作員と本人を含めて6人の「契約スパイ」が配置され、テロ容疑者の捜索工作をしていた。彼は元米軍特殊部隊員だ。

 CIAはパキスタン北西部の連邦部族直轄区域にあるタリバンのアジトなどに対して無人偵察機を使った攻撃を繰り返し、誤爆で罪のない一般市民の死傷事件が続発。CIAの秘密工作を容認するザルダリ政権に対する批判が高まっている。

 ちょうど同じことがイエメンで起きているが、パキスタンでも反政府運動がさらに高まれば、米国は厳しい立場に立たされる。

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執筆者プロフィール
春名幹男
春名幹男 1946年京都市生れ。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒業。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授を経て、現在、早稲田大学客員教授。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『スパイはなんでも知っている』(新潮社)などがある。
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