転換期を迎えたスーダン情勢~バシル強権体制の弱体化

執筆者:白戸圭一 2011年3月2日
タグ: 中国 大統領選
エリア: アフリカ

 中東情勢の展開があまりに早いために、スーダン南部の分離独立を問う住民投票の実施はずっと昔であったかのような錯覚に襲われます。投票は1月9日から1週間にわたって実施され、周知の通り、99%近い賛成によって分離独立が確定しました。

 南部スーダンの誕生と、中東における強権体制の連鎖的崩壊------。両者は一見、無関係に見えますが、底流の部分で呼応し合っていると、私は考えています。南部スーダンの独立は、スーダンのバシル強権体制の弱体化の象徴であり、スーダンでも民衆の不満が反政府デモとなって噴出しています。

カテゴリ: 政治 経済・ビジネス
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
白戸圭一(しらとけいいち) 立命館大学国際関係学部教授。1970年生れ。立命館大学大学院国際関係研究科修士課程修了。毎日新聞社の外信部、政治部、ヨハネスブルク支局、北米総局(ワシントン)などで勤務した後、三井物産戦略研究所を経て2018年4月より現職。著書に『ルポ 資源大陸アフリカ』(東洋経済新報社、日本ジャーナリスト会議賞受賞)、『日本人のためのアフリカ入門』(ちくま新書)、『ボコ・ハラム イスラーム国を超えた「史上最悪」のテロ組織』(新潮社)など。京都大学アフリカ地域研究資料センター特任教授、三井物産戦略研究所客員研究員を兼任。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top