転換期を迎えたスーダン情勢~バシル強権体制の弱体化

白戸圭一
執筆者:白戸圭一 2011年3月2日
エリア: アフリカ

 中東情勢の展開があまりに早いために、スーダン南部の分離独立を問う住民投票の実施はずっと昔であったかのような錯覚に襲われます。投票は1月9日から1週間にわたって実施され、周知の通り、99%近い賛成によって分離独立が確定しました。

 南部スーダンの誕生と、中東における強権体制の連鎖的崩壊------。両者は一見、無関係に見えますが、底流の部分で呼応し合っていると、私は考えています。南部スーダンの独立は、スーダンのバシル強権体制の弱体化の象徴であり、スーダンでも民衆の不満が反政府デモとなって噴出しています。

 国際社会の耳目がスーダン南部の住民投票に集まっていた1月12、13の両日、スーダンの首都ハルツームなど北部の各都市では、学生の反政府デモが発生していました。デモはいずれも小規模でしたが、スーダンでは反政府デモの発生自体が極めて異例であり、警官隊との衝突で負傷者や逮捕者も出ました。

 1月12、13日と言えば、一連の中東政変の幕開けとなったチュニジアの政権崩壊の前です。注目すべきは、当局の厳しい弾圧にもかかわらず、デモが一過性の現象に終わらずに2月に入っても散発的に発生していることです。一番最近では2月24日、首都ハルツームで、約1000人が数時間にわたって幹線道路を占拠するデモがありました。

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執筆者プロフィール
白戸圭一
白戸圭一 三井物産戦略研究所国際情報部 中東・アフリカ室主席研究員。京都大学大学院客員准教授。1970年埼玉県生れ。95年立命館大学大学院国際関係研究科修士課程修了。同年毎日新聞社入社。鹿児島支局、福岡総局、外信部を経て、2004年から08年までヨハネスブルク特派員。ワシントン特派員を最後に2014年3月末で退社。著書に『ルポ 資源大陸アフリカ』(東洋経済新報社、日本ジャーナリスト会議賞)、共著に『新生南アフリカと日本』『南アフリカと民主化』(ともに勁草書房)など。
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