裁かれるケニア暴動---あれは「部族対立」なのか?

白戸圭一
執筆者:白戸圭一 2011年3月11日
カテゴリ: 国際 政治 社会
エリア: アフリカ

 日本の新聞が「部族対立」という言葉でアフリカの紛争を説明していたら、それはウソだと思った方がよい----。新聞記者の私がそう書くと何事かと思われるかも知れませんが、私はそう思っています。私はこれまで、新聞記事でも雑誌や単行本でも、部族対立という言葉でアフリカの紛争を説明したことは一度もありません。ケニアの現職閣僚を含む6人が、近くオランダ・ハーグの国際刑事裁判所(ICC)に「人道に対する罪」で召喚されるというニュースを聞き、改めて何でも「部族対立」の枠にはめたがる報道の過ちについて考えています。

 ケニアでは2007年12月に大統領選がありました。現職のキバキ大統領と野党候補のオディンガ氏が一騎打ちを演じた結果、キバキ氏が再選されました。現在の大統領はキバキ氏、その後、キバキ氏と政治的に「和解」したオディンガ氏はキバキ政権で首相を務めています。

 この大統領選では、キバキ再選の開票結果を巡ってケニア各地で暴動が発生し、およそ1200人が殺害され、暴力を恐れて約50万人が国内避難民となりました。

 一連の暴動のきっかけは、大統領選が「不正」の疑いが極めて強いものであったことでした。投票から開票へ至る経過の詳細については省略しますが、開票作業終盤におけるキバキ氏の票の異様な増え方は、当時ケニアでこの選挙を取材していた私にとっても衝撃的でした。

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執筆者プロフィール
白戸圭一
白戸圭一 三井物産戦略研究所国際情報部 中東・アフリカ室主席研究員。京都大学大学院客員准教授。1970年埼玉県生れ。95年立命館大学大学院国際関係研究科修士課程修了。同年毎日新聞社入社。鹿児島支局、福岡総局、外信部を経て、2004年から08年までヨハネスブルク特派員。ワシントン特派員を最後に2014年3月末で退社。著書に『ルポ 資源大陸アフリカ』(東洋経済新報社、日本ジャーナリスト会議賞)、共著に『新生南アフリカと日本』『南アフリカと民主化』(ともに勁草書房)など。
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