リビア情勢への中南米の反応(その3)急進左派政権とブラジルの動き

遅野井茂雄
執筆者:遅野井茂雄 2011年3月20日
エリア: 中南米 中東

 3月17日国連安全保障理事会がリビア上空での飛行禁止空域の設定を承認したことを受けて、ベネズエラ、ボリビア、ニカラグアら中南米の急進左派政権、キューバのカストロ元議長が一斉に同決議と軍事介入に向けた動きに猛反発している。いずれも、リビア政府の反対派拠点に対する攻撃には触れることなく、また武力行使がアラブ連盟との同調のもとに限定的に行われようとすることに言及することなく、問題解決の手段として軍事介入そのものに反対している点が特徴的だ。NATO等による軍事介入が市民を犠牲にする結果につながる、究極の目的は石油やカダフィ政権が保有する莫大な資産を奪うことだ、と強く非難している。

 外電によればチャベス大統領は、飛行禁止空域の設定に慎重な姿勢を示していたアメリカ政府についても、「アメリカ政府はイラクやアフガンで示したように市民の命に関心はない。あるのは石油の確保だけであり、ベネズエラの石油である。われわれはけしてヤンキーの植民地にはならない」と、自国への将来の米軍の介入の可能性を示唆しながら反米批判を叫んでいる。

 他方、折しも19日初の南米訪問国としてブラジルを訪問したオバマ米大統領は、ルセフ大統領との首脳会談後の記者会見で、ブラジルの新政権との友好振りを誇示している。

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執筆者プロフィール
遅野井茂雄
遅野井茂雄 筑波大学大学院教授、人文社会系長。1952年松本市生れ。東京外国語大学卒。筑波大学大学院修士課程修了後、アジア経済研究所入所。ペルー問題研究所客員研究員、在ペルー日本国大使館1等書記官、アジア経済研究所主任調査研究員、南山大学教授を経て、2003年より現職。専門はラテンアメリカ政治・国際関係。主著に『21世紀ラテンアメリカの左派政権:虚像と実像』(編著)。
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