日本の原発事故と中南米

遅野井茂雄
執筆者:遅野井茂雄 2011年3月20日
カテゴリ: 国際
エリア: 中南米 日本

 中南米諸国で原子力発電所をもつのは、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン(各2基ずつ)で、電力全体の2%を下回るといわれているが、クリーンエネルギーとして多くの国が原発の増設や設置の検討を始めてきた。そうした矢先に発生した今回の東電福島第一原発での連続事故は、各国の原子力開発政策に大きな影響を与えるものと考えられる。【リンク

 原発計画の中止を早々に発表したのは、世界情勢に敏感に反応するベネズエラのチャベス大統領である。同大統領は、3月15日大震災に対し日本国民への哀悼の意を表すとともに、原発危機を受けて、昨年10月ロシアとの間で締結した二国間協定に基づく原子力開発計画を凍結すると発表した。報道によれば、チャベス大統領は「日本のような高度の技術進歩をもってしても原子炉の事故が発生したわけであり、世界の原子力開発を見直すことにつながるだろう」と述べている。

 ロシアとの二国間協力は2008年11月ペルーで開催されたAPEC首脳会議の岐路ベネズエラを訪問したメドベージェフ・ロシア大統領との首脳会談で合意がなされたもので、昨年10月、1200メガワットの原子炉2基の開発に合意している。ベネズエラの原子力開発は、平和目的であるとはいえ、隣国のコロンビアとともに米議会からも国家安全保障上の懸念が伝えられていたものである。ベネズエラが現実に開発中止に至るのか注視する必要がある。【リンク

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執筆者プロフィール
遅野井茂雄
遅野井茂雄 筑波大学大学院教授、人文社会系長。1952年松本市生れ。東京外国語大学卒。筑波大学大学院修士課程修了後、アジア経済研究所入所。ペルー問題研究所客員研究員、在ペルー日本国大使館1等書記官、アジア経済研究所主任調査研究員、南山大学教授を経て、2003年より現職。専門はラテンアメリカ政治・国際関係。主著に『21世紀ラテンアメリカの左派政権:虚像と実像』(編著)。
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