福島第一原発事故の米エネルギー政策への影響

足立正彦
執筆者:足立正彦 2011年3月22日
エリア: 北米

 今月11日に発生した東日本大震災が太平洋沿岸各地にもたらした甚大な被害と、現在も続いている福島第一原発事故の深刻な状況は世界中に大きな衝撃を与えている。オバマ政権は再生可能エネルギーの推進を図る一環として、次世代原子力発電所施設新設時の建設コストについて連邦政府が債務保証を行う決定をするなど、1979年に発生したスリーマイル島事故以来約30年ぶりに原発建設を本格的に再開させる方針を明確にしてきた。だが、今回の福島第一原発事故の発生により米国内の原発施設の安全性に対する懸念が高まっており、オバマ政権が推進するエネルギー戦略全般が停滞しかねない状況が生まれつつある。

 オバマ政権は、政権発足以降、石油、石炭といった化石燃料の代替エネルギーとして再生可能エネルギーを重視する政策を積極的に展開してきた。その一環として次世代原発新設時の建設コストについても連邦政府が債務を保証する決定を昨年2月に行っている。だが、福島第一原発での事故発生後、ハリー・リード民主党上院院内総務(ネヴァダ州)をはじめとする議会民主党指導部は、米国内の原発の安全性に関する特別検証を実施するようオバマ大統領に要請していた。米国内では31州で計104基の原子炉が稼動しており、米国内の電力供給全体の約20%を占めている。地震が多発するカリフォルニア州でも原発が稼働している。

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執筆者プロフィール
足立正彦
足立正彦 住友商事グローバルリサーチ シニアアナリスト。1965年生れ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より現職。米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当する。
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