地震でキャンセルされたフライトでの出会い(下)

野嶋剛
執筆者:野嶋剛 2011年3月23日

さて、最後の回です。

その日本人エンジニアから機内で聞いた話では、本命に決めた企業を訪問したとき、同じようにヘッドハントされてきた3人と一緒になったそうです。1人は韓国人。車内装の専門家でした。1人は日本人。ドアの専門家でした。もう1人も日本人で、電装関係の専門家だったそうです。それぞれ、日韓のメーカーで長く働いた人々で、4人の専門家によって、この中国の自動車メーカーは3年以内に、小型車で中国トップクラスのモデルを発表したい、という目標を立てたそうです。

中国企業もなかなかやるな、という感じです。

彼らの待遇は、母国での待遇とそう変わるものではないそうです。しかし、エンジニアは実力を発揮できることがいちばん幸福なものです。例えば日本企業でつまらない事務仕事を回され、人生最後の貴重な労働のチャンスを無駄にするより、慣れない世界でもめいっぱい働ける環境があれば、飛び込んでいきたいと思うのが人間というものでしょう。

彼が企業のオフィスで見せられた設計図は、「まだまだだな」と感じさせるものだったようで、「私でもいろいろやれることがありそうだ」と期待感を高めていました。

中国などで日本の技術が流出する、という問題が心配されています。最先端の技術、国力を左右するような技術についてはまさに流出阻止に全力を挙げるべきだと思います。

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執筆者プロフィール
野嶋剛
野嶋剛 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に「イラク戦争従軍記」(朝日新聞社)、「ふたつの故宮博物院」(新潮選書)、「謎の名画・清明上河図」(勉誠出版)、「銀輪の巨人ジャイアント」(東洋経済新報社)、「ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち」(講談社)、「認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾」(明石書店)、訳書に「チャイニーズ・ライフ」(明石書店)。
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