国際人のための日本古代史 (14)

なぜ日本人は災害にへこたれないのか

執筆者:関裕二 2011年3月28日
タグ: 災害 日本

 日本は災害列島だ。われわれの先祖は、大きな災異を乗りこえ、たくましく生き抜いてきた。日本の歴史は、災害との戦いの連続でもあった。
 大災害の痕跡は、いたる場所に残される。たとえば、今から約7300年前、鬼界カルデラ(鹿児島県)で想像を絶する噴火が起きていた。火山灰は東北地方まで届き、西日本の縄文集落は、壊滅状態に陥っている。
 縄文人と言えば、東国を思い浮かべるが、南部九州を中心に、西日本にも、豊かな縄文文化が華開いていた。それが、噴火で霧散してしまったのだ。西日本の人口が回復するのは、縄文後期のこととなる。愛知県付近から東側が縄文文化を色濃く残しているとされるのは、一般的に言われている植生の差だけでなく、鬼界カルデラの大噴火の影響もあったかもしれない。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
関裕二(せきゆうじ) 1959年千葉県生れ。仏教美術に魅せられ日本古代史を研究。武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェロー。著書に『藤原氏の正体』『蘇我氏の正体』『物部氏の正体』、『「死の国」熊野と巡礼の道 古代史謎解き紀行』『「始まりの国」淡路と「陰の王国」大阪 古代史謎解き紀行』『「大乱の都」京都争奪 古代史謎解き紀行』『神武天皇 vs. 卑弥呼 ヤマト建国を推理する』など多数。最新刊は『古代史の正体 縄文から平安まで』。
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