現実味帯びる東電の「破綻」「国有化」

執筆者:杜耕次 2011年3月29日
エリア: 日本
3月13日、計画停電実施の記者会見に出席した東京電力の清水正孝社長 (C)時事
3月13日、計画停電実施の記者会見に出席した東京電力の清水正孝社長 (C)時事

 発生から2週間余り(3月29日現在)で死者・行方不明者が約2万8000人となった東北関東大震災。マグニチュード9.0の世界最大級の地震と未曾有の巨大津波が東日本太平洋沿岸の人々の生命、生活を無惨に飲み込み、破壊した。そして追い打ちをかけるような福島第1原子力発電所の重大事故。冷却装置を動かす電源を失った4つの原子炉がそれぞれに炉心溶融、水素爆発、放射性物質拡散と、悪夢のような核反応の暴走に次々と見舞われた。経済産業省原子力安全・保安院は今回の事故を国際原子力事象評価尺度(INES)で1979年の米スリーマイル島事故に並ぶ「レベル5」とする暫定評価を下している。  政府の避難指示を受けた福島第1原発から半径20キロ以内に居住する約8万人、放射性物質検出で出荷停止となった野菜や原乳を生産する福島、茨城などの農家、水道水への放射性ヨウ素混入が確認されて市販のミネラルウォーターを探し求める首都圏の住民、さらに計画停電の影響を受ける関東1都6県と静岡、山梨両県の一部にまたがる区域の家庭や企業――。これら広範な地域の被災者のやり場のない怒りの矛先がひとえに東京電力に向かっている。この激しい憎悪にも似た国民感情を背景に、東電の破綻、その後の国有化というシナリオが徐々に現実味を帯び始めている。

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