「原発」でメルケル政権が負けたドイツ政治の混沌

執筆者:花田吉隆 2011年4月5日
エリア: ヨーロッパ
ドイツの州議会選挙での「勝利」に歓声を上げる緑の党の支持者(3月27日、シュツットガルト) (C)AFP=時事
ドイツの州議会選挙での「勝利」に歓声を上げる緑の党の支持者(3月27日、シュツットガルト) (C)AFP=時事

 3月27日、ドイツ南西部バーデン・ビュルテンベルク州議会選挙で与党キリスト教民主同盟(以下、同盟)が敗北、議席を9減らし下野することとなった。同じく敗北した与党・自由民主党では、ヴェスターヴェレ党首が来月の党首選不出馬に追い込まれた。勝利を収めたのは緑の党。前回選挙の倍の24.2%の票を獲得、社会民主党との連立政権を発足させる構えだ。1980年の結党以来、初の州首相の座を手中に収めた。  ドイツで州議会選挙は殊の外重要だ。シュレーダー前首相をはじめ、歴代の多くの首相が州首相を踏み台に連邦首相に駆け上がった。連邦議会の上院は、州議会における各党議席に応じて議席が割り振られる。今年、ドイツでは7州で次々に選挙が行なわれる。昨年、ドイツの心臓部とも言われるノルトライン・ウエストファーレン州選挙を落とし、上院の過半数を失った同盟にとり、この7連戦はメルケル首相の信任を固める上で落とすわけにはいかない。これが選挙前の状況だった。  とりわけバーデン・ビュルテンベルク州(州都・シュツットガルト)は重要だ。ノルトライン・ウエストファーレン州(州都・デュッセルドルフ)はドイツの心臓部ながら、近年ドイツ経済の比重は南部に移りつつある。中でもバーデン・ビュルテンベルク州はベンツ、ポルシェなどの自動車産業を抱え、その裾野に広がる世界に名だたる優秀な中小企業群(ミッテルシュタンド)と共に重要産業地域を形成する。ドイツの中で最も裕福な州の1つとされ、失業率も低い。何より、同盟はこの地にあって58年間政権の座を守り、同州は保守の牙城だ。これを落とすことはメルケル首相の沽券にも関わる。

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執筆者プロフィール
花田吉隆 在東ティモール大使。1977年東京大学法学部卒業。同年外務省入省。国連局、経済協力局、大臣官房、内閣官房、在スイス大使館、在フランクフルト総領事館等を経て2009年より世界平和研究所主任研究員。2011年10月より現職。
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