被災地入りは「自己完結型」で

竹田いさみ
執筆者:竹田いさみ 2011年4月27日
カテゴリ: 社会 金融
エリア: 日本

 3.11東日本大震災が発生して1カ月以上が過ぎ、東北の被災地では、かつての日常生活を何とか取り戻そうとする動きが芽生えてきた。全国から動員された自衛隊、警察、消防、海保、県・市のスタッフ、電力・ガス会社、建設関連業者、輸送・物流企業、日本財団などの民間緊急支援組織、大勢のボランティアなどが不眠不休で救援・支援・復旧活動を展開したお蔭で、被災地の様子は1週間単位で変化しつつある。
 筆者は4月中旬から下旬にかけて被災地の宮城県を2度訪問した。その際の体験をレポートしたい。一口に被災地と言っても、あまりに広範囲なため、ここでは宮城県の石巻周辺を取り上げる。

必要不可欠な自動車の確保

JR仙石線野蒜駅で復旧作業を行なう米軍兵士(写真2点とも筆者撮影)
JR仙石線野蒜駅で復旧作業を行なう米軍兵士(写真2点とも筆者撮影)

 まず、現地の交通事情と宿泊施設の状況について記しておきたい。  東京方面から被災地へのアクセスは、1週間ごとに改善されつつある。東北新幹線も部分的に再開し、4月25日には東京―仙台間が開通、29日には全線で運行を再開する(東京―福島は12日に開通済み)。  現地を移動するために不可欠なのは、自動車の確保だ。自動車に乗り、高速道路と一般道路を使えば、大半の被災地へ行くことができる。被災地の幹線道路は瓦礫で道幅が狭くなっており、瓦礫の撤去作業によって車線規制が行なわれ、また大型重機を積んだトラックやトレーラーが行き来をするため、徒歩、自転車、バイクでの移動は危険だ。現地では自動車なしに、移動することができない。  目的地が仙台市内であれば、新幹線、在来線、高速バスなどを利用して仙台駅に到着し、そこからバスやタクシーで移動すればよい。だが、仙台から被災地の名取、野蒜(のびる)、東松島、石巻、女川へ移動するには、車を利用するしかない。多くのボランティア団体は、大型バスをチャーターして、宮城県へ乗り込んでいた。  レンタカーは現在でも、仙台では手配できない。地方自治体、民間企業、ボランティア組織などがレンタカーを大量に、しかも長期で借り上げたため、車種に関わりなく1台も予約できないことが日常化しているのだ。  レンタカーを借りるとすれば、新幹線・福島駅か山形駅のレンタカーが最も効率的だ。前者だと仙台まで1時間半、後者であれば1時間以内で到着できる。石巻や女川など上記の被災地は、仙台から東部の海岸沿いであり、東北自動車道から有料道路の仙台南部道路、さらに仙台東部道路へと接続し、さらに北上すれば三陸自動車道へと延伸している。このため石巻や女川から名取、仙台空港に至る宮城県の海岸地帯は、大きな支障もなく移動できる。  被災地ではガソリン・スタンドも順次再開しており、給油の心配は解消しつつある。しかもガソリン料金は良心的に低く設定されている。最低価格は南三陸町周辺で1リッター147円、一般的な価格帯は153円で、最高値は被災地ではない山形市の157円であった。  仙台と石巻を結ぶJR仙石線は現在でも一部区間を除き不通のため、車でしか移動できない。JRは代行バスを運行しているが、激しい交通渋滞のために時刻表通りとはいかず、停留所で気長に待つしかない。  仙石線は、早期復旧を目指して米軍の「トモダチ作戦」が展開中だ。4月21日から米軍と自衛隊の約100人が、大津波で泥と瓦礫でふさがれたJR野蒜駅の復旧活動を行なっている。仙台と石巻を結ぶ仙石線が開通すれば、交通渋滞も緩和されると期待されている。

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執筆者プロフィール
竹田いさみ
竹田いさみ 獨協大学外国語学部教授。1952年生れ。上智大学大学院国際関係論専攻修了。シドニー大学・ロンドン大学留学。Ph.D.(国際政治史)取得。著書に『移民・難民・援助の政治学』(勁草書房、アジア・太平洋賞受賞)、『物語 オーストラリアの歴史』(中公新書)、『国際テロネットワーク』(講談社現代新書)、『世界史をつくった海賊』(ちくま新書)、『世界を動かす海賊』(ちくま新書)など。
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