ビンラディンの死と米大統領選挙の行方

執筆者:渡部恒雄 2011年5月12日
カテゴリ: 国際
エリア: 北米 中東

 5月1日、オバマ大統領は2001年9月11日の米国への同時多発テロを首謀した国際テロ組織アルカイーダの指導者オサマ・ビンラディンを殺害したと発表した。パキスタン北部のアボタバードにある潜伏先で米海軍の特殊部隊SEALSの銃撃により死亡した模様だ。この作戦の遂行はオバマ大統領の決断の要素が大きいことが報じられ、5月2日から6日までの主要世論調査の平均(Real Clear Politics)で支持率が51.6%で不支持率が42.3%と支持を伸ばした。発表前の4月29日には支持率が45.9%で不支持率が48.9%と不支持が支持を上回っていた。

 これは、オバマ大統領の2012年の再選への大きな得点と考えられている。もちろん、大統領選挙の結果はあくまでも経済と雇用状況に左右されるという見方も多いし、現時点で2012年の状況を予想するには早すぎる。しかし、以下のような点でオバマ大統領にとっては有利な展開となったと思われる。

 まず、世界各地に分散し、それぞれアルカイーダを名乗る過激派組織と個人にとって、ビンラディンという象徴と精神的指導者を失う影響は大きい。もちろん、個々の組織の作戦行動への直接の指揮命令や影響は限定的であり、国際的なテロ活動が減少していくというような楽観的な見方はできないが、少なくとも、対テロ戦争の1つの区切りとなる意味は過少評価できない。

この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
渡部恒雄 わたなべ・つねお 東京財団上席研究員。1963年生れ。東北大学歯学部卒業後、歯科医師を経て米ニュースクール・フォー・ソーシャルリサーチで政治学修士号を取得。1996年より米戦略国際問題研究所(CSIS)客員研究員、2003年3月より同上級研究員として、日本の政党政治、外交政策、日米関係などの研究に携わる。05年に帰国し、三井物産戦略研究所を経て現職。著書に『「今のアメリカ」がわかる本』など。
comment:0
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
最新コメント
最新トピック
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順