大震災への支援を通じて見える中南米諸国の温度差

執筆者:遅野井茂雄 2011年5月16日
タグ: 日本
エリア: 中南米

 東日本大震災では、世界中の国々、団体、個人からさまざまな支援が届けられた。かつてのODA大国日本も援助を受けとる側になった。外務省がホームページ上で公開している世界各国からの支援の実態からは、その国がどう日本を観ているのか、親日度をある程度うかがい知ることができる。【リンク

 それによると5月12日現在で、中南米では緊急援助チームを送ったのはメキシコのみである。緊急物資はグアテマラ、ウルグアイ、メキシコ、ベネズエラの4カ国、チャベス政権のベネズエラは、毛布167束、ミネラルウォーター2.8トンなどを載せた特別機を飛ばして物資を送るという破格の対応を見せた。また資金支援はウルグアイとブラジル(いずれも50万ドル)だけである。総理等に対する見舞いの書簡を通じて支援を表明した国は33カ国中26カ国であったが、政府レベルで実際の支援があったのはアジアやアフリカと比べて圧倒的に数が少ないと言わざるを得ない。アフリカではルワンダなど最貧国も資金支援をしているのには驚かされる。

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執筆者プロフィール
遅野井茂雄(おそのいしげお) 筑波大学名誉教授。1952年松本市生れ。東京外国語大学卒。筑波大学大学院修士課程修了後、アジア経済研究所入所。ペルー問題研究所客員研究員、在ペルー日本国大使館1等書記官、アジア経済研究所主任調査研究員、南山大学教授を経て、2003年より筑波大学大学院教授、人文社会系長、2018年4月より現職。専門はラテンアメリカ政治・国際関係。主著に『試練のフジモリ大統領―現代ペルー危機をどう捉えるか』(日本放送出版協会、共著)、『現代ペルーとフジモリ政権 (アジアを見る眼)』(アジア経済研究所)、『ラテンアメリカ世界を生きる』(新評論、共著)、『21世紀ラテンアメリカの左派政権:虚像と実像』(アジア経済研究所、編著)、『現代アンデス諸国の政治変動』(明石書店、共著)など。
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