「メルトダウン」はロシアなども周知の事実

執筆者:春名幹男 2011年5月21日
エリア: ヨーロッパ

 福島第一原発の1号炉で起きた、と東京電力と政府が認めた「メルトダウン」。先進諸国にはとっくに周知の事実だったようだ。在京米情報筋によると、ロシア政府当局は4月初めに「1~3号炉でメルトダウン」と認識していた。つまり、大気や土壌の汚染よりも、地下水や海洋の汚染の方が深刻だと判断していたというのだ。ロシア政府当局がそう認識していたのであれば、米国原子力規制委員会(NRC)やフランス政府なども当然同じ認識だったに違いない。これら諸国は、コンピューター・シミュレーションで4つの原子炉の詳しい事故状況推移を分析していたからだ。
 NRCは3月26日に内部向けの秘密レポートをまとめた、と米紙が伝えているから、このレポートにもそうした状況の詳細が記されていたと思われる。菅政権がこうした事実を知りながら、国民にショックを与えないため「情報管理」していたのであれば、問題だ。

カテゴリ: 環境・エネルギー
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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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