親子二代の大統領誕生は成らず――ペルー大統領選挙決選投票

遅野井茂雄
執筆者:遅野井茂雄 2011年6月6日
カテゴリ: 国際
エリア: 中南米

 大接戦が予想されたペルーの大統領選挙決選投票は、元軍人の左派ウマラ候補が約2%の得票差で当選を確実とした(日本時間6月6日午後9時半現在ONPE集計率87%、ウマラ51.3%、ケイコ48.7%)。

 4月の投票で31%を獲得したウマラ候補と23%のケイコ・フジモリ候補、民主主義へのコミットや経済運営において、問題と不安を与えた両候補の間で態度未定が10%に及ぶなど、有権者の多くは投票直前まで決めあぐねたというのが実情だ。不安を抱える両候補に対し、消去法で勝敗が決するというのが今回の決選投票の構図であった。

 一回目の投票で8%の差をつけられながら決選投票に向けた選挙戦でケイコ候補は、ウマラ候補の経済運営に対する恐れや不安票を動員して盛り返した。世論調査で一時は数パーセントの差をつけ逆転していたが、最後は反フジモリ感情を煽り、追い込みをかけたウマラ候補の前に敗れた形である。

 ケイコ候補が勝つためには、父親の支持基盤の20%に約30%上乗せをしないと過半数に達しないことになる厳しい情勢であった。この点で、全国を足場に16%を獲得、議会選挙で21議席(130議席の一院制)を得たトレド元大統領がウマラ支持に回ったことは大きかった。また地盤のアンデス南部の貧困県プノで、アイマラ系先住民が鉱山・石油開発に反対し5月9日から道路封鎖を続け地域経済を麻痺に陥れていたが、直前の31日に選挙を優先し抗議活動を一時中断する決定をしたのも、ウマラ候補の指導力に通じるものがあると評価されたという状況要因もあろう。

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執筆者プロフィール
遅野井茂雄
遅野井茂雄 筑波大学大学院教授、人文社会系長。1952年松本市生れ。東京外国語大学卒。筑波大学大学院修士課程修了後、アジア経済研究所入所。ペルー問題研究所客員研究員、在ペルー日本国大使館1等書記官、アジア経済研究所主任調査研究員、南山大学教授を経て、2003年より現職。専門はラテンアメリカ政治・国際関係。主著に『21世紀ラテンアメリカの左派政権:虚像と実像』(編著)。
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