経済の頭で考えたこと
経済の頭で考えたこと(36)

EUが導入すべき「産業再生機構」

田中直毅
執筆者:田中直毅 2011年6月8日
エリア: ヨーロッパ
アテネ市内で政府の緊縮財政策に抗議するギリシャ国民 (C)AFP=時事
アテネ市内で政府の緊縮財政策に抗議するギリシャ国民 (C)AFP=時事

 EU(欧州連合)とIMF(国際通貨基金)は昨年5月、ギリシャに対して総額1100億ユーロ(約13兆円)の財政支援を行なった。しかし、これでユーロ圏の「周辺(ペリフェリー)」と呼ばれる南欧の国々の過剰債務問題が片付くと思っていた市場関係者は誰もいなかった。北部欧州では有権者が厳しい目線で「周辺」の財政規律の喪失を監視している以上、その政府とて「周辺」に対して決して甘い顔は見せられない状況が持続する中で、次のステージが浮上することにならざるをえない。  公務員に対する年金支給年齢が50歳台というのは労働規律を歪めており、ギリシャ政府は公務員労組に対して妥協しすぎだ、と北部欧州では批判が渦巻く。ムーンライトエコノミーとも呼ばれる裏経済はドイツでも無視できないが、こうしたヤミ経済に対しても徴税強化の努力は続いている。これに対して「周辺」では税収増への取り組みが甘すぎる、という見方が支配的だ。また、政府のバランス・シートの圧縮とともに、民営化方針を貫くことにより、合理化を通じた政府部門の赤字の圧縮に乗り出すべき、という主張も支援枠組みとともに一応合意された。

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執筆者プロフィール
田中直毅
田中直毅 国際公共政策研究センター理事長。1945年生れ。国民経済研究協会主任研究員を経て、84年より本格的に評論活動を始める。専門は国際政治・経済。2007年4月から現職。政府審議会委員を多数歴任。著書に『最後の十年 日本経済の構想』(日本経済新聞社)、『マネーが止まった』(講談社)などがある。
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