タタ自動車とトリナムール会議派の確執について

執筆者:山田剛 2011年6月13日
カテゴリ: 経済・ビジネス

前々回のエントリについて、読者の方から「タタ自動車と西ベンガル州の地方政党トリナムール会議派(TC)の確執について」ご質問がありましたので、簡単にお答えします。

↓ まず、事件のあらましはこうです。

西ベンガル州におけるタタ自動車「ナノ」専用工場建設計画クロノロジー

2006年
5月 タタ自動車が西ベンガル州での「小型車」工場建設を表明
7月 トリナムール会議派のバナジー党首、工場建設反対運動を開始
2007年
1月 タタ自動車、同州シングールで工場を着工、住民らの抗議行動始まる
12月 バナジー党首、工場建設に反対し無期限のハンガーストライキを宣言
2008年
1月 コルカタ高裁が工場用地収用は合法、との判断
5月 TC、西ベンガル州のパンチャヤット(村落共同体)選挙で勝利
8月 州政府と反対派による最初の交渉が決裂、TCが抗議行動再開
9月 タタが建設工事を中断。州政府とTCによる交渉再開するも2日後に決裂
10月 タタ自動車、シングール工場建設の白紙撤回を決定
2011年
5月 バナジー党首率いるTCが州議会選に圧勝。バナジー氏が州首相に就任
 
 バナジー党首は一貫して「州政府は農民らの意思に反して不当に土地を収用した」と主張し、抗議行動を主導しました。しかし、TCと州政府の左翼連合政権には長年の敵対関係があったことから、「TCはもっぱら州政府に打撃を与えるためだけにタタの工場建設に激しく反対した」というのが大方の見方です。工場建設の白紙撤回を余儀なくされたタタ・グループ総帥のラタン・タタ会長は「(どちらが正しいかは)歴史が判断する」との言葉を残し、インド西部グジャラート州サナンドへの工場移転を決定したのです。
 
                                            (山田 剛)
 

 

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執筆者プロフィール
山田剛 日本経済研究センター主任研究員。1963年生れ。日本経済新聞社入社後、国際部、商品部などを経て、97年にバーレーン支局長兼テヘラン支局長、2004年にニューデリー支局長。08年から現職。中東・イスラム世界やインド・南アジアの経済・政治を専門とする。著書に『知識ゼロからのインド経済入門』(幻冬舎)などがある。
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