ロムニーのアイオワ州共和党模擬投票不参加の影響

執筆者:足立正彦 2011年6月15日
エリア: 北米

 今月9日、ミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事は約2ヶ月後の8月13日にアイオワ州共和党が主催して行う共和党大統領候補の人気投票である模擬投票(ストローポール)に参加しない方針を明らかにした。模擬投票は1979年以来30年以上続くアイオワ州の伝統的政治イベントであり、州内各地から有権者が集うが、投票結果に拘束力はない。だが、党員集会を導入している州では模擬投票は党員集会の「前哨戦」として重要な意味を持つ。

 2008年共和党大統領候補選出プロセスでは、2007年8月に行われたアイオワ州共和党模擬投票でロムニーが圧勝した。ところが、翌年1月の党員集会で実際に勝利したのは模擬投票で2位となったマイク・ハッカビー前アーカンソー州知事であった。当時、2007年の模擬投票でロムニーは、会場スペースの確保、州内各地の支持者の会場へのバスの送迎、一人35ドルの入場券、食事の提供等のために総額250万ドル以上を支出している。模擬投票での勝利に向けた選挙キャンペーンを展開するには多額の費用と膨大な時間が必要となる。

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執筆者プロフィール
足立正彦(あだちまさひこ) 住友商事グローバルリサーチ株式会社シニアアナリスト。1965年生まれ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より、住友商事グローバルリサーチにて、シニアアナリストとして米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当し、17年10月から米州住友商事ワシントン事務所に勤務、20年4月に帰国して現職。
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