韓国大統領選へ動き出した「潜龍」たち

平井久志
執筆者:平井久志 2011年6月28日
カテゴリ: 国際
エリア: 朝鮮半島

 韓国では大統領を「龍」にたとえることが多い。権力が大統領に集中しておりその権力は「大権」といわれ、大統領を目指す政治家のレースを「大権レース」と呼ぶ。さらにその「大権レース」に参加している大統領を目指す政治家を「潜龍」と呼ぶ。「潜龍」とはまだ天を飛ばず水に潜んでいる龍で、王になっていない者を指す。
 日本では近年、北朝鮮情勢への関心の高まりのためか韓国政界の動きがあまり報じられないが、北朝鮮との南北関係にも大きな影響を与える韓国大権レースの状況と、どのような「潜龍」たちが「大権」を狙っているのか、韓国政治の現状を報告する。

来年4月には総選挙も

前回大統領選では、予備選挙で李明博氏(写真左)に敗れた朴槿恵氏 (C)AFP=時事
前回大統領選では、予備選挙で李明博氏(写真左)に敗れた朴槿恵氏 (C)AFP=時事

 韓国の大統領選挙は2012年12月である。この年には米国、ロシア、中国、フランスなど世界各国で政権が任期満了を迎え、選挙や政権交代が予想される。韓国大統領選は「世界政治の年」の最後を飾る選挙となるだろう。  李明博(イ・ミョンバク)大統領は08年2月に大統領に就任したが、残す任期は約1年半となり、韓国政治は今後、大統領選挙に向けて走り出す。しかし、今回の韓国大統領選挙が従来と異なるのは2012年4月に国会議員選挙が行なわれることである。韓国では大統領の任期は5年、国会議員の任期は4年とずれがあり、同じ年に選挙があるのは20年に1度である。  大統領選挙の8カ月前に国会議員選挙があるというのは1992年以来である。92年3月に行なわれた総選挙では当時の現代グループの鄭周永(チョン・ジュヨン)氏率いる国民党が31議席を獲得する旋風を起こし、与党・民自党は149議席しか得られない惨敗を喫した。しかし、同年12月の大統領選挙では与党・民自党の金泳三(キム・ヨンサム)候補が約200万票の大差を付けて民主党の金大中(キム・デジュン)候補を破り、長く続いた軍人出身の大統領から文民出身の大統領へと権力が移行した。  今回の2012年末の大統領選に向けた「大権レース」は同年4月の総選挙を当面の焦点とし、その結果を受けて年末の本格レースへと駆け込んでいく。

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執筆者プロフィール
平井久志
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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