日本のテレビメーカーに未来はあるか

執筆者:新田賢吾 2011年7月1日
カテゴリ: 国際 経済・ビジネス

 地上波の完全デジタル化は最後の秒読みに入った。家電量販店はデジタルテレビ商戦の最後のチャンスとみて、大胆な値引きで買い換えを促している。まばゆいばかりの高性能の機種につけられた値札をみれば、テレビメーカーの苦しさが透けて見える。今や薄型テレビは「1インチ1000円」時代に入ったからだ。

中国、台湾に工場を売却

主戦場は新興国に(ジャカルタ)(c)EPA=時事
主戦場は新興国に(ジャカルタ)(c)EPA=時事

 日本のエレクトロニクスメーカーのテレビ事業、薄型パネル事業再編の動きが、ここにきて急になっている。液晶テレビで国内最大手のシャープは、台湾のEMS(エレクトロニクス製品の製造受託メーカー)で世界最大手の鴻海精密工業と、液晶テレビ生産で部材の共同調達など提携の交渉に入った。シャープは亀山第1工場(三重県)にあった「第6世代」の液晶パネル生産ラインを、中国の南京(江蘇省)に本拠を置く中電熊猫信息産業集団に売却するという大胆な行動にも出ている。シャープが「亀山モデル」と盛んにテレビCMで宣伝した工場のラインが、今は中国の南京で、中国メーカーの手によって液晶パネルを生産しているのだ。  ソニーは2009年にメキシコのティファナにあるテレビ工場を鴻海精密に売却、10年には欧州の生産拠点だったスロバキアのニトラ工場も同じ鴻海精密に売り払った。ソニーが米欧市場で販売する「ブラビア」などのテレビは、もはやソニーの自社生産ではなく、鴻海精密から調達する製品に切り替わった。70年代にトリニトロン方式で世界市場を制覇した「テレビのソニー」の実態は薄ら寒いものになりつつある。

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