「チャベス後」が語られ始めたベネズエラ情勢の急転

遅野井茂雄
執筆者:遅野井茂雄 2011年7月4日
カテゴリ: 国際
エリア: 中南米

 健康問題もあり指導力の低下が観測されてきたウゴ・チャベス大統領(1999年から在任)が、病気治療のため長期に国を空ける異常事態が続いている。「チャベスなきチャベス主義か」(7月1日付英誌『エコノミスト』電子版)、「もしウゴが逝けば」(Michael Shifter,“If Hugo Goes,”  Foreign Policy 、6月28日付電子版)と、にわかにチャベス後を睨んだ論調が出始めた。

 エクアドル、ブラジル歴訪に続き、6月8日訪問先のキューバのハバナで体調を崩し、治療のため公の場から姿を消したことから、56歳の大統領に一時は重体説まで飛び出した。29日にはカストロ前議長と歓談し健在さを伝える映像が流されたものの、同日ベネズエラ外務省が7月5―6日にマルガリータ島で開催予定であった第3回中南米カリブ諸国首脳会議を大統領の病気療養を理由に延期すると発表したことで、病状の深刻さが裏づけられるに至った。

 翌30日にはテレビで国民向け演説を行い、大統領は自ら病気がガンであることを告白した。「膿瘍(のうよう)の拡大を抑えるため11日緊急に骨盤の手術を受け、快方に向かっていたが、検査で新たにガンが見つかり、2回目の手術でガン細胞の摘出に成功した。現在は全快に向け治療に当たっている」と述べ、「革命家として健康への気配りを欠くという決定的な過ちを犯した」と不本意さを滲ませた。やや痩身となり力強さを欠いた約15分間のメッセージからは、これまでの「ボリバル革命」を率いた激しい闘士の面影は明らかに失せていた。

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執筆者プロフィール
遅野井茂雄
遅野井茂雄 筑波大学大学院教授、人文社会系長。1952年松本市生れ。東京外国語大学卒。筑波大学大学院修士課程修了後、アジア経済研究所入所。ペルー問題研究所客員研究員、在ペルー日本国大使館1等書記官、アジア経済研究所主任調査研究員、南山大学教授を経て、2003年より現職。専門はラテンアメリカ政治・国際関係。主著に『21世紀ラテンアメリカの左派政権:虚像と実像』(編著)。
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