「核燃料サイクル見直し」に揺れる六ヶ所村

出井康博
執筆者:出井康博 2011年8月23日
エリア: 日本

 国が原子力政策の要として開発を続けてきた「核燃料サイクル」。“脱原発”を目指す菅直人首相は7月20日、同サイクルの実現見直しに言及。一方で同日、海江田万里経済産業相がその必要性を強調するなど、政府内でも意見が割れている。
 政局は民主党代表選モードに入ったため、この議論も宙に浮いてしまっているが、そんな永田町での駆け引きを、固唾を飲んで見守る小さな村がある。核燃料サイクルの中核を成す再処理工場が建つ青森県六ヶ所村だ。
 1980年代半ばに再処理工場を誘致して以降、村が全国でも有数の豊かな自治体に生まれ変わったことは3カ月前の拙稿で書いた(「核燃料再処理工場『六ヶ所村』はどういう所か」)。しかし、当時は福島第一原発の事故発生から日も浅く、核燃料サイクルの是非を巡る議論は起きていなかった。
 核燃料サイクルとは、原発の使用済み核燃料を処理して再び利用する仕組みだ。日本は輸入頼みのウランを有効活用しようと、莫大な費用をかけて開発に当たってきた。その実現を断念すれば、再処理工場は不要になる。そうなったとき、最も影響を受けるのが六ヶ所村だ。再処理工場と村の関係は、原発と立地自治体のそれにも増して強い。核燃料サイクルが岐路に立つ今、六ヶ所村の住民たちは何を思い暮らしているのか。そして全国的に高まる“脱原発”の流れは、村にも及んでいるのだろうか。

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執筆者プロフィール
出井康博
出井康博 1965年岡山県生れ。早稲田大学政治経済学部卒。英字紙『THE NIKKEI WEEKLY』記者を経てフリージャーナリストに。月刊誌、週刊誌などで旺盛な執筆活動を行なう。主著に、政界の一大勢力となったグループの本質に迫った『松下政経塾とは何か』(新潮新書)、『年金夫婦の海外移住』(小学館)、『黒人に最も愛され、FBIに最も恐れられた日本人』(講談社+α文庫)、本誌連載に大幅加筆した『長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う』(新潮社)、『民主党代議士の作られ方』(新潮新書)がある。最新刊は『襤褸(らんる)の旗 松下政経塾の研究』(飛鳥新社)。
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