敗戦国・日独伊がモスクワを席巻

執筆者:名越健郎 2011年9月22日
エリア: ヨーロッパ

 35年間続けた記者生活を8月で辞め、暇になったので、記者・学者の有志による訪ロ団に加わって、昨日まで9日間モスクワに行ってきました。5年前までモスクワに住んでいて、その時と大きな変化は感じませんでしたが、11年になるプーチン体制長期化に伴うアパシー(無感動)や停滞が社会に少しずつ広がっている印象でした。

 ひとつ驚いたのは、中心部のクレムリンや赤の広場に隣接するマネジ広場に、地元資本の日本料理店チェーン「プラネッタ・スシ」の大型店が開店していたことでした。ソ連時代末期、改革派の集会場だったマネジ広場はその後、地下3階の大型ショッピングセンターとなり、地下街は終日賑わっています。地上の1階部がレストラン街で、そのクレムリン側にプラネッタ・スシと米国のマクドナルド、それに簡易イタリア料理のスバーロが大型店を開設。「永遠の火」が燈る赤の広場わきの無名戦士の墓と対峙する位置取りになっています。

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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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