北京と手を組む華人企業家たち

執筆者:樋泉克夫 2011年9月26日
エリア: アジア

 中国の国務院(内閣)にあって海外の華僑・華人対策を担当する部署の僑務弁公室は、2008年1月、中国ビジネスを積極的に展開する有力企業家と手を組んで中国僑商投資企業協会(英文表記はCHINA OVERSEAS CHINESE ENTREPRENEURS ASSOCIATION=COCEA)を発足させた。以後、同協会は中国の中央・地方両政府が主催する各種の経済関連会議に積極的に参加している。

 僑務弁公室の管轄下に置かれると共に民生部の業務指導と監督管理を受ける同協会の規則は、「中華人民共和国の憲法を遵守し、国家の対外開放、僑務、外国商人の投資を奨励する法律・法規・政策を断固として執行し、会員と投資者のための便宜を企図し、会員の合法的権益を維持する。政府の関係部署に対し会員と投資家の意見と要求を反映させ、国内の投資環境を常に改善する。会員と政府機関及び会員相互の連携と合作を強化し、情報交換、経験交流を進める。中国の現代化建設事業と国際経済の合作において会員が積極的な働きを発揮できるよう促す」と明記する。つまり中国政府と連携し、中国政府の指導の下で中国内外のビジネスを積極展開しようということだろう。ここで注目したいのが、同協会の幹部会員だ。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
樋泉克夫(ひいずみかつお) 愛知県立大学名誉教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年から2017年4月まで愛知大学教授。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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