続発する労働争議~狙い撃ちされる自動車産業

執筆者:山田剛 2011年10月1日
カテゴリ: 国際 経済・ビジネス

 スズキのインド子会社で、乗用車では45%のシェアを維持するトップメーカー、マルチ・スズキのマネサール工場で続いていた労働争議が1日、ほぼ1カ月ぶりに終息した。過去約1年間だけ見ても、韓国・現代自動車やボルボ、地場多目的車大手マヒンドラ&マヒンドラ、日系自動車部品大手のムンジャル・ショーワ、そしてGM、地場タイヤ大手のアポロ・タイヤ、MRFタイヤなどが相次ぎストライキや工場閉鎖に見舞われている。マルチの場合、6月に従業員らが新たな労働組合結成や臨時工の待遇改善などを求めて13日間にわたってストを実施。約88億円の生産減を記録したばかりだった。

 労働者側の要求は①給与引き上げなど待遇改善②新労組の結成、そして③正規工員と臨時工の待遇格差是正―――にほぼ集約される。自動車産業、特に外資系メーカーは製造業の中でもかなり厚遇といわれているが、近年の好況で各社とも業績は良好。従業員も権利意識が高まっており、これが様々な要求につながっていると思われる。

 ただ、ここで気になるのは、「(一連の労働争議は)政治的な背景がある」としたマルチのR・C・バルバガ会長によるコメントだ。あちこちの労働争議には、左翼政党の息がかかった活動家が介入し、時には闘争を扇動に近い形で支援する、というのがこれまでのパターンだった。実際、東部オリッサ州で土地収用をめぐって激しい反対運動に遭った韓国・ポスコ関係者も「地元の農村・漁村に左翼系活動家が入り込んでいる」と話していた。現地で詳しい聞き取り等を実施しているわけではないので軽々に論じるべきではないかもしれないが、自動車・部品工場で起きている今回の一連のストライキ等でも、どうやら同様のことが起きていると考えていいだろう。

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執筆者プロフィール
山田剛 日本経済研究センター主任研究員。1963年生れ。日本経済新聞社入社後、国際部、商品部などを経て、97年にバーレーン支局長兼テヘラン支局長、2004年にニューデリー支局長。08年から現職。中東・イスラム世界やインド・南アジアの経済・政治を専門とする。著書に『知識ゼロからのインド経済入門』(幻冬舎)などがある。
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