不確かさが増す中で始まったベネズエラ大統領選

遅野井茂雄
執筆者:遅野井茂雄 2011年10月4日
カテゴリ: 国際 政治
エリア: 中南米

 6月のキューバでのガン摘出手術後、ベネズエラのチャベス大統領はハバナでの3回を含む計4回の「化学療法」を行ない療養に努めているが、報道によれば9月28日には腎不全を併発し緊急入院する事態となった。この報道は大統領自らが即座に否定したものの(9月29日付スペイン語版マイアミヘラルド、Desmiente funcionario venezolano internamiento de Hugo Chávez)、依然厳しい情報統制が敷かれており、ガンの位置や病状については一切明らかにされていない。改めて独裁体制にも等しいチャベス政権の性格が明らかとなったが、病状はガンの転移が想定される深刻なものであることは疑いない。

 この間、大統領の体重は15キロ減り、公に姿を見せる回数も激減、週末に行なっていた支持者向けテレビ放送もなくなり、強烈な個性とカリスマ性もって「ボリバル革命」を率いてきた、反米闘士の面影はすっかり失せた形である。当の大統領は化学療法が10月に終了し完全に復帰するとしているが、6月以降ベネズエラ政治は一変し、チャベス時代の終わりが始まったといっても過言ではない。後継者もなく、強力な個人を中心に展開されてきたベネズエラ政治は、来年の大統領選挙を前に不確かさを増幅している(2011年7月4日「『チャベス後』が語られ始めたベネズエラ情勢の急転」参照)。

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執筆者プロフィール
遅野井茂雄
遅野井茂雄 筑波大学大学院教授、人文社会系長。1952年松本市生れ。東京外国語大学卒。筑波大学大学院修士課程修了後、アジア経済研究所入所。ペルー問題研究所客員研究員、在ペルー日本国大使館1等書記官、アジア経済研究所主任調査研究員、南山大学教授を経て、2003年より現職。専門はラテンアメリカ政治・国際関係。主著に『21世紀ラテンアメリカの左派政権:虚像と実像』(編著)。
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