ロシア爆撃機日本1周半の真相

名越健郎
執筆者:名越健郎 2011年10月12日
カテゴリ: 外交・安全保障
エリア: ロシア

 9月8日にロシアの長距離爆撃機Tu95二機が日本列島を一周半したことは、極東ロシア軍の軍事行動拡大を示すものとして日本側にショックを与えた。旧ソ連時代には爆撃機が日本列島を一周することはあったが、一周半は初めて。ソ連崩壊後は初めてであり、オホーツク海上空では空中給油も行なった。

 ロシア側は「通常訓練の一環」とし、「公海上を飛行したもので、領空侵犯は一切なかった」と強調した。翌9日には、太平洋艦隊の24隻が宗谷海峡を通過しており、これほどの艦船が一斉に宗谷海峡を通過したことも初めてだった。

 ロシアは近年、国防費を大幅に増額し、全土で演習を頻繁に実施しており、軍事活動拡大の一環であることは間違いない。ただ、ロシア筋によれば、日本列島一周は航空自衛隊機によるロシアへの威嚇飛行に対する報復という側面もあったようだ。

 実は今年初めから夏にかけて、ウラジオストク空港の滑走路拡張工事が実施された。これは、来年9月8、9の両日、ロシアが初めてウラジオストクで主催するアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会合に合わせた工事。同空港の滑走路は比較的短く、これではオバマ大統領が使用するエアフォースワンが着陸できないとして、米国が拡張を強く要求していたようだ。

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執筆者プロフィール
名越健郎
名越健郎 1953年岡山県生れ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長を歴任。2011年、同社退社。現在、拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学東アジア調査研究センター特任教授。著書に『クレムリン秘密文書は語る―闇の日ソ関係史』(中公新書)、『独裁者たちへ!!―ひと口レジスタンス459』(講談社)、『ジョークで読む国際政治』(新潮新書)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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