「役に立つ」研究ってなんだ?

2011年10月16日

 また事業仕分けが始まった。私たちの研究所は幸いなことに生き残ってきたけれど、「政策に役立つ研究をせよ」「政策提言を出せ」というあちらこちらの合唱に応えて、組織運営や成果発出のあり方を毎年変えている。

 しかし、こういう研究をせよという発注は、そうそうこないのである。震災後はとくにそうだが、あまたある開発途上国に日頃から関心をもち、私たちにアクセスしてくるような組織はない。各省庁や政治家にしても開発途上国や世界の貧困問題に関する情報に貪欲なわけではない。政策情報ニーズそのものが希薄なのである。昔、1990年代後半のある年、うちの研究所のアフリカ研究事業の行政評価があって評価委員会のまな板に載せられたことがあったが、その席でK大学の教授が「研究としては申し分ないが、政府の機関としてこれでよいのかどうかは分からない」とのたまい、これを受けて経産省の若手が「これからは私たちが指導するので心配無用です」と、これまたのたまったことがある。若い彼には実務感がまだ備わっていなかったと思いたいが、年間150をこえる研究テーマをいちいち「指導」していたら、いかに優秀な官僚でも自分の仕事はとてもできまい。

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