レジリアンスという概念

2011年10月25日

 先週、南アフリカにある日本研究センターのセミナーで話をしてきた。セミナーのタイトルが「ビジネスの成功のためのレジリアンス」だったので、「日本企業はレジリアントか?」という演題にした。一橋大学の米倉誠一郎教授とご一緒したが、彼の演題は「日本企業のレジリアンス」だった。
 このセンターはプレトリア大学のビジネススクールに附置され、日本企業の出資で運営されている。アフリカ大陸初の日本研究拠点だ。

 レジリアンスとはもともとは環境社会学の概念で、社会や生態系が環境変動の影響から回復するメカニズムのことをいう。今回の主催者にその意識はなかったようだが、東日本大震災後の日本はこの分野にとってかっこうのケーススタディであろうし、日本企業と日本の経済社会はレジリアンスを試されている最中だといえる。アフリカ研究では、政策変化や気候変動に遭遇した農村社会の変容ぶりを扱った論文などでも登場する概念である。

 私は、1980年代における急激な円高のなかでアジア諸国に生産拠点を移転し、東アジア水平分業体制を構築することで生き残りをはたした日本経済の姿を説明し、日本企業のレジリアンス事例とした。その一方で、この動きが日本とアフリカの貿易関係が希薄化する一因となり、あわせて、日本の貿易依存度を世界最低水準におしとどめる要因ともなったのである。

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