野田政権による「南進戦略」と「中国包囲網」?

樋泉克夫
執筆者:樋泉克夫 2011年10月28日
カテゴリ: 経済・ビジネス 国際

 10月25日付のシンガポール華字紙「聨合早報」(電子版)が報ずる記事の見出し――「日本媒体(=メディア):日本、南進戦略。中国を全面包囲」――を見て、我が目を疑った。野田政権は国民の関心をTPPと年金問題に引き付けておき、隙に乗じて着々と対中包囲網作りを進めているらしい。どうやら泥鰌首相は、前任のお遍路さんや前々任の宇宙人とは違って大局的戦略眼と政治的胆力を備えていたようだ。頼もしく思いながら記事を読み進んでみた。

 記事は「日本新聞網が報ずるところでは」と書き出されている。「日本新聞網」が「聨合早報」の見出しの「媒体」を指すのだろうが、「日本新聞網」とはアジア通信社という会社の経営する漢字情報サイトらしい。つまり、この情報の出所は日本で経営されている中国人(敷衍すれば世界中の漢字読者)相手の通信社ということになる。

 ここで「日本新聞網が報ずるところ」の記事を箇条書きに整理してみると、

①野田首相は12月にインドを訪問し、インド洋における日本船舶の安全航行、両国貿易の拡大と投資問題につき協議する。

②日本は既に南シナ海問題(原文では「南海問題」)に関する一連の行動を策定しており、しかるべき時期に中国に対する一種の包囲を戦略的に完成させようとしている。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫
樋泉克夫 愛知大学教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年より現職。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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