「ウォール街占拠」で繁盛する個人セキュリティ企業

春名幹男
執筆者:春名幹男 2011年10月30日
カテゴリ: 国際 金融
エリア: 北米

 「ウォール街占拠」(OWS、Occupy Wall Street )をスローガンに、近くのズコッティ公園に陣取る若者たち。しかもその動きは米国内から世界に拡大している。
彼ら若者が標的にするのは、ウォール街で巨額の富を稼いだ大金持ち。
これに恐怖感を抱いた金融機関のトップらが、急いで身辺警護の強化に乗り出している。ニューヨーク・タイムズ紙によると、米金融大手ゴールドマン・サックスのロイド・ブランクファイン会長兼最高経営責任者(CEO)は、デモ隊に頭部写真を掲げられたことがあるほか、JPモーガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOらは自宅にデモ隊が押し掛けた経験がある。このため、自宅の門扉を強化したり、ガードマンを増やしたりする企業トップが増えている。また爆弾のにおいをかぎ分ける能力を持つ犬を企業ビルに設置する金融機関もあるという。
これら企業トップのセキュリティを取り扱う仕事は「エグゼクティブ防護」と呼ばれており、売り上げを大幅に増やしている。こうしたセキュリティ企業は元米中央情報局(CIA)や特殊部隊上がりの専門家を雇い入れている。賊や誘拐犯らに襲われないよう、ブログやホームページなどにプライバシーに関する情報を漏らさないとか、ドアの開閉には生体認証を義務付ける、といった専門的アドバイスを与えているという。
しかしOWCの若者たちは、金融機関のCEOたちを声高に批判してはいるが、危害を加えるとは言っておらず、CEOたちは過剰反応、と指摘する声もあるようだ。

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執筆者プロフィール
春名幹男
春名幹男 1946年京都市生れ。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒業。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授を経て、現在、早稲田大学客員教授。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『スパイはなんでも知っている』(新潮社)などがある。
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