ラテンアメリカはヨーロッパを相手にしない?

執筆者:遅野井茂雄 2011年11月4日
エリア: 中南米 ヨーロッパ

 10月28日、29日、パラグアイの首都アスンシオンで第21回イベロアメリカ首脳会議が開催された。冷戦終結直後、スペインのイニシアティブでイベリア半島のポルトガルとともに、宗主国と植民地の中南米諸国が文化歴史的な絆をよりどころにして、協力関係の強化を目指して開催してから20年目に当たる節目の首脳会議であった。

 スペインは中南米諸国の民営化を通じて、通信、金融、エネルギー分野において資本参入を強めるとともに、サミットを軸に冷戦後の世界で文化的紐帯を共有する中南米への影響力を行使し、EUと中南米の戦略的連携の推進において主導権を握ってきた。他方、中南米諸国はアメリカとの関係でバランスをとるためにも、キューバを含め独自のグローバルな交渉力の強化が必要であった。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
遅野井茂雄(おそのいしげお) 筑波大学名誉教授。1952年松本市生れ。東京外国語大学卒。筑波大学大学院修士課程修了後、アジア経済研究所入所。ペルー問題研究所客員研究員、在ペルー日本国大使館1等書記官、アジア経済研究所主任調査研究員、南山大学教授を経て、2003年より筑波大学大学院教授、人文社会系長、2018年4月より現職。専門はラテンアメリカ政治・国際関係。主著に『試練のフジモリ大統領―現代ペルー危機をどう捉えるか』(日本放送出版協会、共著)、『現代ペルーとフジモリ政権 (アジアを見る眼)』(アジア経済研究所)、『ラテンアメリカ世界を生きる』(新評論、共著)、『21世紀ラテンアメリカの左派政権:虚像と実像』(アジア経済研究所、編著)、『現代アンデス諸国の政治変動』(明石書店、共著)など。
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