流行語から見た韓国の失業問題

平井久志
執筆者:平井久志 2011年11月15日
エリア: 朝鮮半島

 朝鮮半島の「専門家の部屋」は堅い話が多いと反省し、少し柔らかい話題で韓国の状況を語りたいと思います。

「流行語」は世相を反映します。韓国では「失業」に関する流行語がなかなか豊富で、身につまされるものも少なくありません。

 韓国語では、失業者を「ペクス」と言います。もちろん「失業者(シロプチャ)」という漢字語をそのまま韓国語読みしたりもしますが、普通の会話などでは失業者を「ペクス」ということが多いようです。ペクスの漢字表記は「白手」ではないかと思われます。白い手がなぜ失業者なのかという気もしますが、仕事をして手を汚すことのできない者とでもいう意味が語源かも知れません。

 韓国では1997年末からアジア経済危機に襲われ、大量の失業者が生まれました。韓国は破産状況に陥り、国際通貨基金(IMF)の管理下に置かれました。このために韓国では97年の経済危機を「アジア経済危機」とは言わず「IMF危機」と呼んでいます。

 この時は金泳三政権の末期で、IMF危機と大統領選挙という政権移行期の激動が一緒にやってきました。当時、ソウルで生活していて、国の経済破綻というのはこんな風になるのだということを本当に肌に感じました。企業がバタバタと倒産し、ウォンも株も暴落し、企業は相次いで首切りを行ないました。家族や親族のつながりの強い韓国ではそれまでホームレスなどはいなかったのに、このIMF危機以降、駅や公園にホームレスが登場し、みるみるうちにその数が増えました。

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執筆者プロフィール
平井久志
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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