ポーランドは「欧州の緑の島」か

佐藤伸行
執筆者:佐藤伸行 2011年12月4日
エリア: ヨーロッパ

 欧州財政危機の嵐の中、欧州連合(EU)加盟国でただ1つの「勝ち組」とまでもてはやされていたポーランドですが、ドイツ国債の入札不調など、いよいよ欧州の本丸にも火の粉が降りかかる厳しい現状を前に、必死の防衛に乗り出しつつあります。

 10月の下院選で勝利し、20年余にわたるポーランド民主化後の歴史の中で、初めて首相再選を果たしたトゥスク首相は先月、12月に予定していた発表の期日を繰り上げて施政方針演説を行ない、財政赤字削減のための構造改革計画を明らかにしました。ポーランドは欧州の中でも突出したカトリック国ですが、トゥスク首相の表明した構造改革計画は「大切な神父様でも緊縮財政の犠牲になる」と言われるほどの内容となりました。具体的には、①年金の支給開始年齢を段階的に引き上げ、現行の男性65歳、女性60歳を67歳にする②農民、鉱山労働者、警官、消防士、そして聖職者の年金優遇措置を撤廃する③国家公務員の税控除縮小④一部年金の雇用主負担の引き上げ――などで、2015年末までには単年度財政赤字を国内総生産(GDP)の1%に抑えることを目標にしています。

 ちなみに、ポーランドの今年の単年度財政赤字はGDPの5.6%に達しており、EU財政規律の定める3%を大幅に上回っています。昨年の財政赤字は7.9%で、トゥスク首相の目標がいかに野心的か分かります。また、累積債務も来年はGDPの52%、2020年までには44%に抑え込む目標も宣言されました。

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執筆者プロフィール
佐藤伸行
佐藤伸行 追手門学院大学経済学部教授。1960年山形県生れ。85年早稲田大学卒業後、時事通信社入社。90年代はハンブルク支局、ベルリン支局でドイツ統一プロセスとその後のドイツ情勢をカバー。98年から2003年までウィーン支局で旧ユーゴスラビア民族紛争など東欧問題を取材した。06年から09年までワシントン支局勤務を経て編集委員を務め退職。15年より現職。著書に『世界最強の女帝 メルケルの謎』(文春新書)。
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