経済の頭で考えたこと
経済の頭で考えたこと(42)

3.11で「無力」を露呈した日本の統治システム

田中直毅
執筆者:田中直毅 2011年12月12日
エリア: 日本
無残な姿をさらす福島第一原発4号機の原子炉建屋(11月12日撮影)(C)時事
無残な姿をさらす福島第一原発4号機の原子炉建屋(11月12日撮影)(C)時事

 3.11の東日本大震災は、2011年の師走になっても総括しきれない課題を残したままだ。大津波による災害からの復興と、福島第一原子力発電所の冷温停止および廃炉までの工程表作成の2つについて言えば、中長期の射程からは何も前進したとはいえない。3.11が切り開き指し示したのは、日本政府の機能不全であった。戦後日本の総括については、戦後のそれぞれの段階でわれわれは1つひとつの区切りをつけてきた気になっていた。しかし、日本の未来から焦点を当て、課題を浮き彫りにしたうえで、そうした課題への取り組みを足元から開始するという手法は、実際にはまったく定着していなかったといえる。ひとつには日本の行政に基本的に欠ける視座のゆえといえよう。しかし原因は他にもある。過去への心情的なこだわりから「何事も学ばず」に至るか、事態を先送りして「何事も思わず」という態度に終始するのか、という思考の乱れと課題からの逃避とが国民の内にもあったといわねばならない。3.11はその総体を表現してきた日本政府を厳しく打ち据えた。

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執筆者プロフィール
田中直毅 国際公共政策研究センター理事長。1945年生れ。国民経済研究協会主任研究員を経て、84年より本格的に評論活動を始める。専門は国際政治・経済。2007年4月から現職。政府審議会委員を多数歴任。著書に『最後の十年 日本経済の構想』(日本経済新聞社)、『マネーが止まった』(講談社)などがある。
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